肌に合わない化粧品成分を特定する方法

「あれ・・・、この化粧品使うとなんだかかゆいな。前は使えていたのにな・・・」

こんな時があるかと思います。

化粧品が合わないのは、季節、体調、ホルモンバランス等によって、一時的に肌のバリア機能が弱っているからかもしれません。

この場合はあまり問題ありません。

しかし、いつ使ってもかぶれる・かゆい・刺激があるという場合は、特定の成分があなたの肌に合ってない場合があります。

ひどい時は、使用を辞めて皮膚科に相談すべきですが、今後のためには、どの成分が自分の肌に合わないかを特定しておくほうが良いです。

今回は、自分自身でどの成分か合わないか、見当をつけること方法を紹介します。

この記事を書いた背景

なぜ、この記事を書いたかというと、ブログ読者さんから、こんなコメントがあったからです。

「今までメンズビオレ泡洗顔ブルーを使用していて、こちらのオレンジに変えたところ、顔が痒くなってしまいました。
皮膚科で薬をもらい、洗顔をブルーに戻したところ症状は収まりました。
再度オレンジを使用してみたところ、やはり痒くなりました。
自分の肌に合わないのは分かったんですけど、
ブルーとオレンジでいったい何が違って痒みを引き起こしてるのか疑問です…
すすぎにくいと書かれていましたので、もしかしたらすすぎ不足の可能性もありますが…ちなみにすすぎは風呂場でシャワーを使ったので、すすぎ不足はないと思うのですがね…」

文面をみると、一時的なものではなさそうで、シャワーを使っているのですすぎ残しもないと思います。

こういう場合は、特定商品の特定成分による刺激やアレルギーの可能性があると思います。

こんなときに、どれが原因か見当をつけるための方法をお伝えしようと思い、記事にしてみました。

刺激やかぶれのパターンは2種類

化粧品が合わないときに、肌がかゆい、赤くなることがありますが、パターンは2つあります。

  1. 刺激
  2. アレルギー

どっちの反応か、医者ではない私たちが見極めるのは難しいですが、基本的な知識としてさらっとお伝えします。

刺激

刺激は誰でも起こりうるものです。特定の成分が、肌バリアの限界を超えたら感じる、というイメージです。

刺激は、刺激が出やすい成分というのがありますが、その他にも、いろんな条件によって起こりやすさが変わります。

  • 成分の配合量が多い
  • 浸透性が高い処方
  • 肌のバリアが弱っているとき

などが原因で、刺激リスクがあがります。

アレルギー

アレルギー反応(過敏反応)とは、通常は無害な物質に対して免疫系が異常な反応をすることを指します。 通常、アレルギー反応が起こると、涙目や眼のかゆみ、鼻水、皮膚のかゆみや発疹、くしゃみなどが起こります。 アレルギー反応のうちアナフィラキシー反応と呼ばれる症状は生命を脅かします

引用:アレルギー反応の概要/MSDマニュアル家庭版

簡単にいうと、アレルギーには2段階あります。

  1. まず、特定成分が接触し、身体が「この成分は悪者だ」と認識します。
  2. 次に、同じ成分を接触・摂取したときに、身体を守る防御システム(免疫システム)が稼働します。

これがアレルギー反応です。

この反応がひどいと、皮膚が赤くなったり(紅斑)、かゆくなったりします。

Aくんには大丈夫な成分でも、あなたにはアレルギーというように、個人差があります。

昔は大丈夫だったけど、特定成分の度重なる接触により、アレルギーになることもあるそうです。

ちなみに、悪者認定された成分は、化粧品だけでなく、食べ物によってもアレルギーが出ます。

化粧品業界が騒然となった石鹸の加水分解コムギの事件では、

加水分解コムギを含む石鹸を使用→小麦製品(うどんなど)を食べる→アレルギー

というパターンでした。

では、実際に自分で合わない成分を特定する方法を紹介します。

自分に合わない化粧品成分を特定する方法

  1. 刺激・アレルギーリスクが高い成分を知る
  2. 合う化粧品と合わない化粧品の成分を見比べる

刺激・アレルギーのリスクが高い成分を知る

化粧品を構成する成分はたくさんありますので、見当をつけるために、刺激が起こりやすい成分を覚えておきましょう。

肌トラブルが出た時に、まず疑われる成分たちは、以下のようなものです

  • 化粧品基準の配合制限成分(昔から汎用の防腐剤、UV吸収剤、タール色素など)
  • ジャパニーズスタンダードアレルゲン
  • 香料・精油
  • 美白・抗シワなどの効果成分(アスコルビン酸、レチノールなど)
  • 界面活性剤
  • 防腐剤以外の抗菌成分(多価アルコールなど)

化粧品基準はわりと古い基準なので、最近の化粧品成分までは網羅されていません。

香料・精油はいろんな化合物が含まれており、刺激・アレルギーリスクは高い印象です。

また、以前は刺激の報告はなかったが、最近はよく使われるようになって、刺激やアレルギーの報告が出てくるというのもあります。

繰り返しですが、これ以外の成分が刺激やアレルギーになることも十分あります。

合う化粧品と合わない化粧品の成分を見比べる

次に、合わない化粧品Aと、合う化粧品Bを使い比べます。

できれば、同じ日に左の顔にA、右の顔にBという感じで比べるとわかりやすいです。また、刺激でなく、アレルギーであれば、顔でなく腕とかにつけても、赤みやかゆみが出ます。

そして、本当に化粧品Aが合わないと思ったら、化粧品Aにだけ含まれる成分をピックアップします。

これで、ピックアップされた成分のどれかが肌に合わないということがわかります。

[voice icon=”https://shosong.com/wp-content/uploads/2019/04/osaru-bu.png” name=”すみしょう” type=”l”]かゆみや赤みがひどい場合は、自分でやらずに皮膚科に相談してくださいね。[/voice]

実際に合わない成分を特定してみる【ビオレ泡洗顔の例】

ケーススタディとして、肌に合わなかった方の事例を元に、リスクのある成分のあたりをつけてみます。

先述しましたブログ読者Mさんのケースです。

花王のメンズビオレ泡洗顔のうち、合うもの・合わないものがあったようです。

Mさんが合わなかったオレンジ色ボトルの泡洗顔は、私は気に入ってよく使っていて、レビューもしていたのですが、やはり肌質はみんな違うということを実感しました。

以下、それぞれの成分です。

[aside type=”normal”]

肌に合ったメンズビオレ泡タイプ洗顔cの成分(青いボトル)

水、グリセリン、ラウレス硫酸Na、PG、ラウラミドプロピルベタイン、アルギニン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ラウリルヒドロキシスルタイン、

(以下、1%以下と思われる)

ポリクオタニウム-39、ラウリン酸PEG-12、ステアリン酸PEG-150、PPG-7、水酸化Na、EDTA-2Na、EDTA-3Na、メチルパラベン、フェノキシエタノール、香料

[/aside] [aside type=”warning”]

肌に合わなかったメンズビオレ泡タイプディープモイスト洗顔aの成分(オレンジのボトル)

水、グリセリン、デシルグルコシドPPG-9ジグリセリル、ラウリルヒドロキシスルタイン、PG、ラウレス-6カルボン酸エタノール、ラウリン酸

(以下、1%以下と思われる)

ポリクオタニウム-39、炭酸Na炭酸水素Na、ミリスチン酸、パルミチン酸、水酸化K、フェノキシエタノール、香料

[/aside]

赤文字が肌に合わない成分と言えます。

この中で、疑わしいのは、上述したように、香料や界面活性剤が怪しいな〜と思うので、リスク順に

  1. 香料
  2. pH
  3. ラウレス-6カルボン酸
  4. デシルグルコシド

という感じであたりをつけました。

ちなみに、pH(酸性〜アルカリ性の指標)が入ってますが、それぞれのリスクについて解説します。

香料

香料は、青い洗顔にも含まれますが、オレンジの洗顔とは違う香りなので、違う化学成分で構成されています。

香料は、ジャパニーズスタンダードアレルゲンにも掲載されるくらいであり、これかな〜と思う第1の成分です。

立証するのは、香料の単独サンプルがないと無理ですが・・・。

pH

pHは酸性、アルカリ性の指標です。

こちらの洗顔は石けん系と呼ばれるものですが、石けん系の洗顔は弱アルカリ性でpHが9〜10.5くらいになります。

pHを11を超えてくるとかなり刺激的になります。

試しに、泡洗顔のpHをpH試験紙で見てみました。

メンズビオレ泡洗顔ディープモイストのpH

このように、pH9〜くらいなので、pHが高すぎるということはないですね。

ラウレス-6カルボン酸またはラウレス-6カルボン酸K

こちらの洗顔では、ラウレス-6カルボン酸と水酸化Kが配合されているので、酸とアルカリの中和反応が怒っています。

よって、以下の2つの成分が存在しています。

  1. ラウレス-6カルボン酸(弱酸性)
  2. ラウレス-6カルボン酸K(弱アルカリ性)

どちらにもドンピシャの刺激データはなかったですが、化学構造が近いラウレス-5カルボン酸Naの皮膚刺激データを見つけました。

ラウレス-5カルボン酸Naは、下の表の一番右であり、かなり低刺激性の界面活性剤です。

比較物質になるSLS(灰色、ラウリル硫酸Na)が550に対して、ラウレス-5カルボン酸Naは50以下です。

ラウレス-4カルボン酸の刺激比較

参考:AKYPO Personal Care/花王株式会社

界面活性剤の中では、わりと刺激リスクは低いです。

また、アレルギーリスクについてはデータが見当たりませんでした。

デシルグルコシド

非イオン性界面活性剤です。一般的には低刺激と言われるものです。

米国化粧品成分評価(CIR)のレポートをみると、

  • 2%濃度で、22名でわずかな刺激
  • 0.5%濃度で、105人(アトピー患者含む)で刺激なし

など、刺激はなし〜わずかという感じです。

また、アレルギー性もなしと判断されています。

このような情報から、私がまず疑うなら、香料が一番怪しいような気がします。

次に選ぶ化粧品は香料が入ってないものにするのがいいですが、それも不都合がありますよね。

なので買う前にテスターで触ってみる、小さいサンプルを買ってみるという形にするのがいいのではないでしょうか。

ということで今回はこちらで終わりますが、しっかりと特定するためには皮膚科と相談しましょう。

4 COMMENTS

まさ

以前コメントさせて頂いたものです。
以前は酷いアトピーだったり(今は指の一部が痒くなったりする程度)、乾燥肌なのですが、洗顔料で困ったことはなかったので今回のような症状が出てびっくりです。
香料、次に新しいもの使うときは気にしてみたいと思います。詳しく解説ありがとうございました。

返信する
匿名

ちなみに最後に痒くなるの覚悟で今日20時に使ってみました。
使ってから3時間後ぐらいですが、顔はさほど痒くない、が手の甲の

返信する
まさ

ちなみに、最後に痒くなるの覚悟で今日20時頃に使ってみました。
使ってから3時間後ぐらいですが、顔は前回より痒くない、ですが手の甲の上(指先のつけ根あたり)が痒くなってます。痒くて眼が覚めるほどに…笑
今思うと、手は前回も痒くなってました。
どちらにしても異常は起こるので、処分しようと思います(^^;

必要ないかもですが、情報として提供しておきます!本当にありがとうございました。

返信する
すみしょう

まささんコメントありがとうございます!実験されたのですね、すごいです。
それはアレルギー反応っぽいですね。
どんな商品も肌に合うもの合わないものあるので、常に肌を観察しておくことが大事だと思います。
貴重な情報ありがとうございました。
今後とも、よろしくお願いいたします^^

返信する

すみしょう へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA