元・化粧品研究職のすみしょう(@smishow01)です。
突然ですが、医薬部外品と化粧品の違いはご存知でしょうか?
大まかなイメージだと、
医薬部外品は化粧品より効果が高い
こんな感じだと思います。
しかし、実際には、医薬部外品よりも化粧品の方が効果が高いこともあります。
目次
化粧品と医薬部外品の違いについて
私たちが普段使うスキンケアは化粧品と医薬部外品にわけられます。
それぞれメリットやデメリットがあります。
化粧品のメリット・デメリット
化粧品のメリットは、自由な処方設計ができるという点です。
化粧品基準というルールさえ守っていれば、企業の責任において、どんな成分をどれだけ配合してもOKなのです。
なので、化粧品原料メーカーが最新の美容成分を開発し、安全性を確かめた後は、まずはじめに化粧品に配合されます。
(昔は、決められた成分しか配合できず、厚労省の許可がなければ販売できませんでした。)
しかし、化粧品の効能効果の表現については厳しく定められており、以下、56個の効能効果しか訴求できないというデメリットもあります。
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひがそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(38)芳香を与える。
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
注釈1:例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注釈2:「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注釈3:( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
医薬部外品のメリット・デメリット
医薬部外品は、「有効成分」という、特定の効果がある成分を配合できるのがメリット。
有効成分を配合することで、日焼けによるシミ・そばかすを防ぐとか、ニキビを防ぐとか、シワを改善する、といった化粧品以上の効果が訴求できます。
以下、代表的な、医薬部外品の効能効果です。
種類 | 効能・効果 |
シャンプー |
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リンス |
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化粧水 |
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クリーム、乳液、ハンドクリ ーム、化粧用油 |
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ひげそり用剤 |
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日やけ止め剤 |
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パック |
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薬用石けん(洗顔料を含む) | <殺菌剤主剤>(消炎剤主剤をあわせて配合するものを 含む)
<消炎剤主剤のもの>
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(注1)作用機序によっては、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。」も認められる。
(注2)上記にかかわらず、化粧品の効能の範囲のみを標ぼうするものは、医薬部外品としては認められない。
上記以外にも、効能効果はいくつかあり、最近では「シワを改善する」という日本で初の効能効果が認められました。
このように、非常に優れた効果が認められる可能性があるのが医薬部外品ですね。
しかし、医薬部外品にもデメリットがあります。
それは、厚労省の定めた「医薬部外品原料規格」に定められた成分しか配合できず、配合量も上限があるということ。
なので、化粧品原料メーカーが優れた新規成分を開発したとしても、基本は配合できません。
(その成分の安全性や有効性が承認されれば、配合OKになりますが、ハードルは結構高いです。)
なので、医薬部外品は、化粧品以上の効能効果があるものの、自由な処方設計はしにくいというデメリットがあります。
化粧品よりも医薬部外品の方が有効成分を高濃度配合できる?!
さて、化粧品のメリットで、企業の責任でどんな成分も自由に配合できるという点がありました。
ということは・・・。
医薬部外品に使われる有効成分を、医薬部外品以上に配合することも可能なのです。
例えば、肌の炎症を抑える有効成分「グリチルリチン酸ジカリウム(以下、GK2)」があります。
GK2は、医薬部外品では、0.05%配合で抗炎症効果があることが認められるため、0.05%で抗炎症効果のある医薬部外品が販売できます。
しかし、化粧品でもGK2の配合は可能であり、例えば0.5%配合すれば、医薬部外品より10倍効果が高い化粧品ができあがります。
医薬部外品でも0.5%配合は可能なのですが、厚労省の安全性承認のハードルが高く、難しいと思います。
さらにいうと、医薬部外品では原則、同じ効果をもつ有効成分をダブル配合するのは認められていません。(例外もあります)
例えば、抗炎症+抗炎症みたいなのはNG。
抗炎症+殺菌はOKです。
でも、化粧品ならば、抗炎症成分A+抗炎症成分Bのようなこともできちゃいます。
ただ、いくら高濃度配合や、ダブル配合したとしても、化粧品は上記56個の効能効果しか表現できないので、あくまで「肌を整える成分」としかパッケージに書けません。
よって、その本当の効果が世間に知られるためには、口コミで広まるしかないというのは留意点ですね。
本来は、化粧品の効果<医薬部外品の効果なのですが、このような効果の逆転現象が起こることがあるということは、覚えておいて損はないでしょう。
すみしょう
まとめ
まとめです。
- 化粧品は、自由な処方設計が可能だが、効能効果は56個に制限される
- 医薬部外品は、化粧品以上の効果訴求が可能だが、処方設計は制限が多い
- 化粧品に高濃度の有効成分を配合することも可能であり、医薬部外品より効果が高い、逆転が起こることがある
大手メーカーでは書けないことを書いてみましたが、化粧品にはこのような裏事情もあります。
また、思いついたら書きますね。
関係ないかもしれませんが、医薬部外品と医薬品では何が異なるでしょうか?
医薬品は治療目的であり効果が高いです。そのため副作用もあります。
医薬部外品は予防目的であり、化粧品よりも少しだけ効果を付与したものというイメージです。