シカクリームに含まれるツボクサエキスの効果、成分、安全性を論文調査した

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[voice icon=”https://shosong.com/wp-content/uploads/2019/04/osaru-bu.png” name=”すみしょう” type=”l”]元化粧品研究者のすみしょう(@smishow01)です。[/voice]

 

韓国コスメで人気のシカクリームをご存知でしょうか?ちまたでは、肌再生クリームと言われ、カタツムリ、ヘビ毒、ハチ毒に続く人気商品だそうです。

 

シカクリームとしては、ドクタージャルトという韓国メーカーのシカペアクリームや、世界の化粧品ブランドであるロレアル・ラロッシュポゼのシカバームも有名のようです。

 

シカクリームには重要成分として、ツボクサエキスが含まれますが、今回は、そんなシカクリームのツボクサエキスの効果、成分、安全性について情報をまとめました。

 

シカクリームとは?

日本のネット情報を見ると、シカクリームは韓国発の化粧品で、肌を再生する効果があるクリームと言われています。

 

しかし、この表現は、日本の美容系の日本メディアがかなり誇張してます。

 

というのも、シカクリームのパイオニアであるドクタージャルトの公式ページでは、そのような過度な表現はされていません。

 

[aside type=”normal”]

Tiger Grass calms redness & soothes irritation for sensitive skin

訳:タイガーグラスは赤みを鎮め、敏感肌の刺激を和らげます。

[/aside]

 

あくまで敏感肌の炎症を鎮めるくらいのイメージですね。

 

タイガーグラスというのは通称で、化粧品成分としては「ツボクサエキス」のことです。虎が傷を治すために使っているという伝説があり、タイガーグラスと呼ばれているのだとか。

 

なので、肌再生クリームという、日本のメディアの誇張表現に惑わされないようにした方がいいと思います。

 

余談ですが、Dr.jartの商品はデザインがめっちゃ可愛いですね。欲しくなってきた。

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シカクリームの名前の由来

シカクリームは英語でCICA-CREAMで、鹿ではないです。

 

この名前の由来は、スミス・アンド・ネフューというロンドンの医療機器メーカーが発売する「CICA-CARE(シカケア)」という医療機器からきた模様。

 

CICA-CAREは、シリコンのゲルシート。傷に貼って傷を保護する一般医療機器です。

 

このCICA-CAREは、日本でも一般医療機器の皮膚バリア粘着プレートとして販売されています。

 

公開されている効能効果を見ると、外傷、熱傷、手術、ニキビ等のあとが赤くなったり盛り上がった部位を保護することと書いてます。

 

こちらの医療用シートは、日本の薬機法に従っている商品ですが、傷の治りを速くするとまでは書いてません。また、ニキビに使うのは、悪化させるのでやめておきましょう。

参考:シカケアゲルシートの説明書

 

シカクリームの特徴成分ツボクサエキスとは?

シカクリームに配合されている特徴成分は、ツボクサ(Centella Asiatica)のエキスです。

日本では道端の雑草としても生えているそうです。

ツボクサ

引用:Wikipedia

 

ツボクサは、根や葉や茎があり、抽出部位によって、色々なエキスがあります。

 

化粧品研究者がよく使うサイトCosmetic infoにて調べると、以下のようなエキスがあります。

化粧品表示名称 INCI NAME
ツボクサエキス Centella Asiatica Extract
ツボクサカルス順化培養液 Centella Asiatica Callus Conditioned Media
ツボクサ成長点細胞培養物 Centella Asiatica Meristem Cell Culture
ツボクサ花/葉/茎エキス Centella Asiatica Flower/Leaf/Stem Extract
ツボクサ葉/茎エキス Centella Asiatica Leaf/Stem Extract
ツボクサ葉エキス Centella Asiatica Leaf Extract
ツボクサ葉水 Centella Asiatica Leaf Water
ツボクサ葉細胞エキス Centella Asiatica Leaf Cell Extract

 

このエキスは日本の化粧品や医薬部外品にも配合されており、ツボクサエキスだけでも、742件の製品があるようです。(2019年11月4日現在)

 

ただ、日本では、あくまで皮膚コンディショニング成分という名目だと思います。

 

このツボクサエキスについて、効果や安全性をみていきましょう。

 

ツボクサエキスの薬理効果

ツボクサに含まれる重要な成分は、アシアチコシド、マデカソシド、アジア酸、およびマデカシン酸という5環式トリテルペノイドが挙げられています。

 

ツボクサエキスの薬理効果としては、

  • 抗炎症作用
  • Ⅰ型コラーゲンの産生促進
  • 血管新生(怪我をした時などに血管が新たに作られる)を促進
  • 妊娠線予防

 

などが報告されているようです。

 

しかしながら、動物実験や細胞実験データの話であり、ヒトでの臨床試験はない(妊娠線予防以外)ので、参考程度にとどめておくのが良いと思います。

 

ちなみに、ツボクサは根、茎、葉がありますが、葉から抽出すると薬理成分が一番濃いそうです。

 

参考:Safety Assessment of Centella asiatica-derived Ingredients as Used in Cosmetics

 

ツボクサエキスで妊娠線予防ができる?

妊娠線予防実験されている研究がありました。

実験方法は、人を使ったランダム二重盲検なので、信頼性は高い実験方法です。

 

80人の妊婦をランダムに、2グループに分けます。

  • A:41人は、ツボクサエキス、αートコフェロール、加水分解エラスチン、加水分解コラーゲンが含まれるクリームを塗布→14人が妊娠線発生。
  • B:39人は、上記エキスが入っていないクリームを塗布→22人が妊娠線発生。

 

著者はAのクリームに効果があったと述べています。

 

しかし、ツボクサエキスのみのクリームではないので、どの成分が効いているのかわかりませんし、さらに、この差が本当に意味のある差なのかは微妙だと思いました。

 

なので、こちらもあくまで参考程度にするのが良いかと思います。

 

参考:Mallol J1, Belda MA, Costa D, Noval A, Sola M., Prophylaxis of Striae gravidarum with a topical formulation. A double blind trial. Int J Cosmet Sci. 1991 Feb;13(1):51-7. 

 

[voice icon=”https://shosong.com/wp-content/uploads/2019/04/osaru-bu.png” name=”すみしょう” type=”l”]仮に効果があったとしても、胎児に何か影響があるかどうかわかりませんでしたので、妊娠中に使うのは辞めたほうが無難かなと思いました。[/voice]

 

ツボクサエキスの安全性

ヒトを用いた皮膚刺激やアレルギーテストについて確認しましたが、ほとんどのケースで陰性でした。

 

0.018%〜0.5%のツボクサエキスの刺激、アレルギーテストで、述べ326名が刺激、アレルギーなし。

 

なので、CIRでも化粧品成分として通常の処方では安全であるとされています。

 

ただし、ケーススタディとして、刺激の報告もあります。

<ツボクサエキス>

アトピーの既往のない42歳の女性は、ツボクサ抽出物を含む血管緊張性クリームを塗布した後、脚に重度の皮膚炎を発症しました。

患者は、FinnChamber®および薄層ラピッドユース(TRUE)test®メソッドを使用してパッチテストされました。 反応は2日目と4日目に採点されました。 ツボクサ抽出物に対する+++反応が報告されました。

センテラアシアチカ抽出物を含むクリームを塗布した後、39歳の女性で、滲出と激しいかゆみを伴う赤い小胞反応が観察されました(クリーム中の濃度は明記されていません)。

クリームを使用したパッチテストでは、+++反応が得られました。
ツボクサ属粉末(ワセリン中1%)でのパッチテストでは、2日目と3日目に+++反応が生じました。しかし、ワセリン中1%ツボクサ粉末で試験した50人の対照被験者で陰性反応が観察されました。

 

ツボクサ根/茎エキス

ツボクサ抽出物を含む軟膏を塗布した後、アトピー性またはアレルギー性接触皮膚炎の病歴のない54歳の女性におけるアレルギー性接触皮膚炎の症例が報告された。

患者は、ツボクサ抽出物(ワセリンに1%と10%、エタノール70%に2%)でパッチテストされました。

1%ツボクサ抽出物を使用したパッチテストでは、48時間で+反応、72時間と96時間で++反応が生じました。 48%、72時間、および96時間で、2%および10%のツボクサ抽出物に対する+++反応が観察されました。

 

ほとんど安全ですが、ごく稀に刺激が起る可能性があるということです。

ちなみに、+++は、結構な刺激です。

 

[voice icon=”https://shosong.com/wp-content/uploads/2019/04/osaru-bu.png” name=”すみしょう” type=”l”]ただ、どの成分にも刺激がある人はいますし、刺激が出た時の濃度がめちゃくちゃ高いので、これくらいのデータなら肌に使っても問題ないと思います。[/voice]

 

シカクリームを発売しているメーカーと商品

シカクリームの種類

シカクリームは韓国のドクタージャルト、フランスのロレアルを始めなど、色々発売されています。

メーカー 商品名 価格
Dr.Jart+(ドクタージャルト) シカペアクリーム 50ml 3,000円
ロレアル ラロッシュポゼシカプラストバームB5 40ml 1,500円
innsfree(イニスフリー) ビシャシカバーム 40ml 1,830円
A’PIEU(オピュ) マデカソサイド クリーム 120ml 2,500円
IOPE(アイオペ) ダーマリペアシカクリーム 50ml 3,850円

これらは日本では未発売なので、輸入業者から買う形になるようです。

 

ロレアルは世界トップクラスの化粧品メーカーで、EUの化粧品規則に乗っ取った商品なので、信頼性は高いと思いますが、肌に合うかどうかはご自身で慎重に確かめる必要はあります。

 

また、ドクタージャイルは14年くらいホームページの運用暦がありましたので、ロレアルほどではないにしろ、しっかりと歩んできた会社だと思いました。

 

輸入化粧品について厚労省からの注意喚起

ツボクサエキスを配合したシカクリームは、韓国あるいはフランス製の商品です。よって、輸入業者を通じて購入することになります。

 

ただ輸入業者によっては管理がしっかりしていないところもあると思いますので、購入する際も注意が必要です。偽物とかもあり得ます。

 

ちなみに、海外の医薬品等(化粧品も含む)を個人で輸入することに対して、健康被害リスクがあると厚労省から注意喚起が出ています。

 

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、体外診断用医薬品又は再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)を、海外からインターネット等を利用して取り寄せ、又は外国の旅行先で購入して持ち帰る等(いわゆる個人輸入)して、使用される方がいらっしゃいます。

しかし、そうした医薬品等は、日本国内で医薬品医療機器等法を遵守して販売等されている医薬品等に比べて、次のような保健衛生上の危険性(リスク)があります。

〜中略〜

正規のメーカー品を偽った、偽造製品かもしれません。個人輸入される医薬品等は、効能・効果、用法・用量、使用上の注意等が外国語で記載されているため、一般に、記載内容を正確に理解することが困難です。

記載内容を正確に理解できたとしても、規制当局により認められていない効能・効果、用法・用量等が記載されていることがあります。 また、その製品の使用によって起こり得る望ましくない作用(副作用)や成分・分量などが、きちんと記載されていないこともあります。

抜粋:医薬品等を海外から購入しようとされる方へ

 

まとめ

  • シカクリームは敏感肌向けコスメ
  • 「シカ」の由来は医療機器のCICA-CARE
  • シカクリームはツボクサエキス(タイガーグラス)を特徴成分としている
  • ツボクサエキスは抗炎症、コラーゲン産生促進などの効果が期待される

 

ツボクサエキス配合製品が本当に素晴らしいものであれば、大手化粧品、医薬品メーカーがこぞって利用してくると思います。

まだそこまで研究が進んでいないのかなという印象です。

 

なので、あくまで肌荒れを防ぐ敏感肌化粧品として、使ってみるのは良いかと思います。デザインも可愛いですしね。

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