「化粧品を選ぶときは、なんとなく安全そうだから、パラベンフリーのものを選んでる。」
このような方も多いと思います。
パラベンフリー化粧品とは、防腐剤である「パラベン類」を配合していない化粧品のことです。
最近の化粧品は、どこもかしこも、パラベンフリーで溢れていますが、「パラベンフリー」は流行はメーカーの仕掛けた戦略による部分が大きい。
たしかに、パラベンは、敏感肌の方には刺激が出る人がいるのも事実(私の上司がそうでした)。
しかし、パラベンは、何十年も昔から全世界で利用されており、米国のレビューでは、通常の使用においてパラベンは安全な成分であるという結論も出されています。
個人的には、シャンプー等の洗い流し商品は、どんな肌の人でもパラベン入っててもOKで、洗い流さない化粧水などの化粧品においては、敏感肌、赤ちゃんにはオススメしたくない成分という感じです。
大切なのは、自分の肌にあったものを選ぶことです。
本記事では、パラベンフリー流行の真相と、詳しい安全性データについて紹介しますので、化粧品選びの一助となれば幸いです。
目次
パラベンフリー化粧品とは?パラベンってどんな成分?
パラベンフリーとは、パラベンが入ってない化粧品のことですね。
パラベンはメジャーな防腐剤の1つであり、化粧品が腐るのを防ぎます。
なお、パラベンは、構造の異なる化合物をまとめた略称でして、よく使われるパラベンには、以下があります。
化粧品表示名称 | 医薬部外品成分名 |
メチルパラベン | パラオキシ安息香酸エステル |
エチルパラベン | パラオキシ安息香酸エステル |
プロピルパラベン | パラオキシ安息香酸エステル |
ブチルパラベン | パラオキシ安息香酸エステル |
パラベンの配合量はどれくらいまでOKなの?
パラベンは、化粧品の安全性等について定めた「化粧品基準」にて配合量が決められており、パラベン類(パラオキシ安息香酸エステル及びそのナトリウム塩)の合計で、1%まで配合が認められています。
ちなみに、市販の化粧水42品目を分析した結果、パラベンの配合量は多くても0.267%以下であったという報告もありますので、おおむね配合上限の1/3程度しか入ってないと思えばOKです。
化粧水42品目中の全ての製品にパラベン類が検出され,その範囲は0.016~0.267%であり,その平均値は 0.120%であった。
パラベンフリーが流行した理由は3つ
パラベンフリーが流行したのには3つの理由があると考えます。
- パラベンが旧薬事法にて表示指定成分に該当していること
- 内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の疑いをかけられていること
- とあるメーカーがパラベンフリー化粧品を発売したこと
パラベンは旧表示指定成分に該当
現在の化粧品の基準では、配合されている成分を全開示する必要がありますが、2001年3月末までは、全開示する必要がありませんでした。
しかし、例外として、「使う人の体質によってごくまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分」は開示する義務がありました。
それらの成分は「表示指定成分」と呼ばれ、103種類あり、パラベンも含まれていました。(現在では、それらの成分を「旧・表示指定成分」と呼びます。)
これを根拠にパラベンは刺激がある!という中小企業メーカーの戦略が始まったのが、パラベンフリーの流行のきっかけです。
確かに、ウサギを用いた動物実験で、パラベンにはマイルドな刺激があるというデータがあります。ただ、それは、10%と100%のパラベンという濃い濃度での実験です。
日本では化粧品に配合していいのは1%以下と決められているので、そのデータだけ誇張するのはどうかなと思いますね。
冷静にパラベンの安全性データを見れば、そこまで大げさになる必要はないと思いますので、後ほど安全性データもご紹介します。
パラベンんは内分泌かく乱物質の疑いがかけられている
また、1990年代に欧米諸国で、パラベンが内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の疑いがあると取り上げたこともきっかけの1つです。
2018年にも米国は、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンを内分泌かく乱物質の疑いがある物質としてリスト化しています。
しかし、国連ではヒトへ有害である証拠がない、ということでリストを却下するように要請していたりで、未だ議論の最中という感じです。
参考:「米国及び EU における内分泌かく乱作用の規制動向」2018年7月
私、個人的には、パラベンは安全性が高く、化粧品の中身の価格も安くできるので、使っても何ら問題ないと思っています。
これが気になる方は避けたらいいと思います。
とあるメーカーがパラベンフリー化粧品を発売したこと
上記のような話が出ると、当然メーカーが食いつきます。
そして、マーケティング戦略の1つとして利用します。
パラベンは悪いもの。
だから、パラベンを配合しない化粧品が安全です。
当社の化粧品はパラベンは配合していません。
このような流れですね。
現在は、パラベンフリー化粧品はどのメーカーも取り入れているので、珍しいものではなく、スタンダードになってます。
パラベンの安全性データを知るにはCIRを見れば良い
パラベンは世界中で古くから使われる化粧品の防腐剤です。
そのため、安全性データも膨大な量が蓄積されています。
安全性データは、アメリカのPCPC(Personal Care Products Council)という業界団体がまとめている、化粧品成分のレビュー「CIR(Cosmetic Ingredients Review)」にめちゃくちゃ詳しくのっています。
CIRには、パラベンの安全性データだけで、PDF97枚分と膨大のデータが蓄積されていますが、データおよび結論をサクッと紹介しますと、以下になります。
[su_note note_color=”#ffffff”]- 0.1〜0.8%の1〜2種のパラベンを含む製品は、ヒトへの有意な刺激性、アレルギー性を示す証拠は出なかった。
- 21個のパラベンのうち、20個のパラベンは、通常の使い方をしている限り安全である。ベンジルパラベンについては、安全と断定するにはデータ不十分である。
参考:Amended Safety Assessment of Parabens as Used in Cosmetics [/su_note]
通常、日本の化粧品では、パラベンは1%以下しか配合できませんし、1%ぎりぎりも入れることはありません。
なので、パラベンは普通に使う分には安全な成分です。
例外として、ベンジルパラベンについては、ちょっと怖がった方がいいかもしれませんが、日本の商品で使っているのを見たことはないですね。
パラベン入り・パラベンフリーのメリット・デメリット
パラベン入り、あるいは、パラベンフリーには、メリットもあればデメリットもあります。
パラベン入り化粧品のメリット・デメリット
パラベンは安いので、パラベン入りであれば化粧品の価格は下がります。
しかしながら、敏感肌や赤ちゃんにとっては刺激の可能性もあります。
パラベンフリー化粧品のメリット・デメリット
パラベンフリーにすると、敏感肌や赤ちゃんにとっては刺激が出にくいのでメリットですよね。
しかしながら、パラベン代替の防腐剤が必要になり、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオールなどの多価アルコールなどを配合するので、価格が高くなってしまいます。
なので、敏感肌の人はしょうがないですが、普通肌の人は、過度にパラベンフリーにこだわらない方が、コスパが良い商品に出会えますのでオススメです。
まとめ
- パラベンは米国の化粧品成分レビューで皮膚刺激、アレルギー性に問題なしと結論されている
- パラベンは内分泌かく乱物質の疑いがあるとしされるが結論は出ていない
- 個人的には、普通肌の人はパラベン入り化粧品でOK
普通肌の人は、パラベンフリーにそこまでこだわらなくても良いです。
敏感肌の方、赤ちゃんのスキンケアにはパラベンフリーの方が安心ですね。
私は、普通肌なので、(若干アトピーですが)、パラベン入りでも問題なく使ってます。
大切なのは、正しい知識・情報を取捨選択し、自分に合う化粧品をみつけること。
その方が、化粧品選びの幅が広がり、もっと楽しくなりますよ。
こちらの記事も拝見いたしました!
敏感肌はパラベンフリーと盲目的に思っていたのですが、理解がすっきりしました。