モイスチュアリポソームの成分解析と隠れた効果【元研究職7年が語る】

モイスチャーリポソーム

「モイスチュアリポソームの成分ってどんなの?リポソームってそんなにすごいの?」

という疑問があると思いますので、化粧品研究職7年の知見を生かして成分解析し、効果を解説します。

 

モイスチャーリポソームは医薬部外品ではなく、化粧品なのですが、実は美白効果も期待できるかもしれません。


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モイスチュアリポソームの特徴

モイスチュアリポソームはコーセーのコスメデコルテというブランドの美容液です。

リポソームを配合しているのが特徴です。

40mlで1万円と、さすがデパコスという感じです。

モイスチャーリポソーム

 

以下、ブランドサイトから抜粋。

多重層リポソームを採用した化粧品として、“モイスチュアリポソーム”の愛称とともに、長年親しまれているコスメデコルテの保湿美容液です。
洗顔後すぐ肌になじませると、直径0.1ミクロンのリン脂質のカプセルが角層深くまでスムーズに浸透。
外側の膜から少しずつ美容成分を放出するので、かさつく肌はいつまでもしっとり。
キメをふっくら整え、ハリのあるなめらかな肌をかなえます。

アレルギーテスト済み(すべてのかたにアレルギーが起きないというわけではありません。)

40ml 10000円

引用:https://www.cosmedecorte.com/product/liposome/JVFA

 

リポソームとは?メリットデメリットを紹介

リポソームの構造

引用:https://www.kose.co.jp/jp/ja/research/technology/liposome/

 

リポソームは、リン脂質(レシチンなど)という両親媒性成分(水にも油にもなじむ)でできたカプセルです。

100nmくらいの小ささで、玉ねぎの断面のような構造をしています。

カプセルの外側は水に馴染みやすく、内側は水にも油にも馴染みやすい構造を持っています。

 

リポソームのメリットは、以下のようなものがあり、非常に優れた成分と思います。

  1. リポソーム自体がラメラ構造という高保湿構造
  2. 細胞膜と似た構造なので浸透が良い
  3. 水で壊れやすい成分をカプセル化して安定化できる
  4. カプセル化した成分を角層にデリバリーできる

 

しかし、リポソームは不安定な構造で、普通に化粧品に配合しても、すぐ壊れてしまいます。

例えば、肌の分解酵素、リン脂質の純度、その他の添加成分、pHなどにも影響されて壊れます。

いかに壊れずに安定化できるかがキーポイントとなります。

 

参考:内藤昇,リポソームの化粧品への応用, 製品 & 技術(Products Spotlight):膜(MEMBRANE),31(4),221-223(2006)

 


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リポソーム化粧品の商品化は難易度Sランク

私が勝手にSランクと言ってますが、要はリポソーム化粧品の商品化は非常に難しいということです。

 

というのも、リポソームを配合したことをパッケージ等に記載するためには、普通の成分とは違って、色々な条件が求められます。

 

具体的には、以下のようなデータを出して、国に認めてもらわないとダメです。

  • リポソームが安定であること
  • リポソーム製剤が安全であること
  • リポソームの証拠写真

 

安定性

リポソームは非常に不安定なので、室温3年間、あるいは40℃6ヶ月程度で安定であることを示す必要があります。

コーセーの論文を見ると、普段は壊れやすいビタミンC誘導体が、リポソームに包み込むと40℃6ヶ月で80%ほど残存したと報告されています。

さらに、リポソームの大きさも均一で、カプセル構造も変化ないことを確認されています。

 

安全性

リポソームにすると、本来肌に浸透しにくい成分が肌に浸透しやすくなるので、これまで安全だった成分の毒性が増強される恐れがあるとして、安全性にも詳細なデータが求められます。

詳細は不明ですが、厚労省が納得するデータを出されたものと思います。

 

証拠写真

リポソームは、多重カプセルになっていることを示すために、証拠写真を提出しなければなりません。

0.1ミクロンと非常に小さく、しかもカプセルになっていることを撮影するには、電子顕微鏡を用いた特殊な技術が必要です。

コーセーの開発当時は撮影するのに1年もかかったそうです。

 

このように、リポソームを配合するだけなら誰でもできるのですが、それを商品で訴求するためには、安定性、安全性、写真撮影という超高いハードルをクリアしなければならないのです。

 

コスメデコルテモイスチュアリポソームが発売されたのが1992年ですが、現在でも、リポソームを訴求できているのは、コーセーくらいではないでしょうか。

 

モイスチュアリポソームの成分解析

ではモイスチュアリポソームの成分解析です。解析に当たってコーセーの公開特許でリポソーム関連のものを参考にしました。

  • 特許3521517
  • 特許2807840
  • 特許5848511

 

配合量はあくまで私の推定です。

成分名 主な配合目的
推定配合量(%)
ベース 82.00
BG 保湿、リポソーム安定化 8.00
グリセリン 保湿、リポソーム安定化 6.00
水添レシチン リン脂質、リポソーム安定化 1.60
PCA-Na 保湿 1.00
アセチルグルタミン 保湿 0.01
オオウメガサソウ葉エキス 保湿 0.01
シラカバ樹皮エキス 保湿 0.01
スギナエキス 保湿 0.01
トコフェロール ビタミンE、酸化防止剤 0.01
ヒアルロン酸Na 保湿 0.01
ホップエキス 保湿 0.01
マツエキス 保湿 0.01
レモンエキス 保湿 0.01
ローズマリーエキス 保湿 0.01
オキシベンゾン-5 紫外線吸収剤、安定化 0.01
カルボマー 合成ポリマー、粘度調整 0.03
キサンタンガム 天然ポリマー、粘度調整 0.01
コレステロール 油剤、リポソーム安定化 0.40
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 紫外線吸収剤、安定化 0.01
水酸化Na pH調整 0.02
メチルパラベン 防腐 0.20
香料 香料 0.05

大まかな処方としては、

  • 水…82%
  • 保湿(BG、グリセリン、PCA-Na)…15%
  • リポソーム(水添レシチン、コレステロール)…2%
  • 植物エキス等…微量

 

であり、油性成分を含まない美容液です。

以下、処方の特徴や気になる成分をピックアップします。

 

水添レシチン、コレステロール

リポソームを安定にするために、水添レシチン、コレステロールを配合しています。

 

水添レシチンは、レシチンの不飽和結合に水素を添加して安定にした成分。

少しでも不飽和結合が残っていると、リポソームが不安定になるそうで、高純度のものを使っているようです。

 

また、コレステロールを組み合わせて、リポソームの安定化を向上しています。

 

PCA-Na

PCA-Naは、ピロリドンカルボン酸ナトリウムと読みます。肌の角質細胞に含まれる天然保湿因子でもあります。

 

リポソームが角質細胞膜と近い構造なので、さらにPCA-Naも配合することで、より肌に近く、なじみが良いことをアピールしているのかなと思いました。

 

オキシベンゾン-5、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル

オキシベンゾン-5、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは紫外線吸収剤と呼ばれ、サンスクリーンに使われたりします。

配合目的は、リポソームやカルボマーが光に弱いので、劣化を防ぐためと思います。

 

しかし、現代の処方では紫外線吸収剤をワザワザ処方に入れるというのはあまり見られないです。光に弱ければ、光を遮る容器に入れたらいいですので。

 

ちなみに、割と最近発売された「リポソームトリートメントリキッド」を見ると、これらの紫外線吸収剤は入ってません。

 

モイスチュアリポソームは1992年に発売されて一度も処方変更してないそうなので、昔の名残がずっと残っているのかなと思いました。

 

処方を変えると安定性、安全性などの試験をやらないといけないですしね。

 

美白効果も期待できる?

コーセーの特許を見ると、モイスチュアリポソームに関連した特許は、

  1. グリセリン or BG
  2. 水添レシチン
  3. コレステロール
  4. ホップエキス

 

が必須になります。

 

上記3つはリポソームの製造や安定化に必須なので理解できるのですが、ホップエキスを組み合わせているのが特徴だと思いました。

 

これらを組み合わせることで、ホップエキスの持つ抗酸化力を底上げし、肌のくすみをなくす美白効果を高めることができるそうです。

 

ただ、あくまで特許上の話なので、どこまでデータが正確かはわかりませんが、そういう結果もあるっちゃあるということです。

 

モイスチュアリポソームの安全性について

モイスチュアリポソームは25年を超えるロングセラー商品なので、特段大きな肌トラブルがないことがわかります。

 

ただ、敏感な人は特定の成分が肌に合わないこともあります。

以下の成分が、安全性で気になる成分です。

  • 香料
  • 紫外線吸収剤
  • パラベン
  • トコフェロール

 

基本的にはいろんな化粧品に配合され、安全性が高いものなのですが、まれに刺激があることが報告されている成分です。

敏感な方は、注意してみてください。

 

モイスチュアリポソームの使用感触

モイスチュアリポソームは、以前の仕事で触っていたことがあるのですが、なじみが速いです。

すっと浸透します。

 

そして、割とあっさりした保湿感かなと思いきや、肌の内側からふっくらした感触になります。

さらに、翌朝もふっくらしているような。

 

これを真似するのは難しかったですね。

結局リポソーム系の成分を添加するくらいしかできませんでした。

まとめ

  • リポソーム化粧品はコーセーコスメデコルテのみ
  • リポソーム商品化は難易度Sランク
  • モイスチュアリポソームは美白効果もあるかも
  • 感触はあっさりだけどふっくら

 

モイスチュアリポソームは、他社では真似できないリポソーム技術が盛り込まれている美容液です。

使用感もふっくらするし、もしかしたら、美白効果も期待できるかもしれません。

 

現在は、コーセーしかリポソーム商品がないですが、資生堂、ポーラ、花王、カネボウは開発しないのかな?

コーセーの基本特許も切れているので、今後開発されないかなと密かに期待しています。

 

個人的にはセラミド+リポソーム商品がいいななんて思っています。



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